公開(kāi)日: 2019年10月8日

最終更新日: 2022年12月30日

 

糖尿病を治療中の方の中には、「低血糖に気をつけて下さい。」と言われている方も多いと思います。

  では、この低血糖とは、どのようなものなのでしょうか。

  今回は、低血糖について、糖尿病の専門(mén)家が解説します。

   

    低血糖は、血液中のブドウ糖が少なく（＝血糖値が低く）なり、血糖値を正常範(fàn)囲に戻すための措置（例：ブドウ糖の內(nèi)服）が必要となる狀態(tài)です。

  分かりやすく言うと、低血糖とは、血糖値が低くなりすぎて、血糖値を上げないとマズい狀態(tài)です。

  低血糖は、糖尿病の治療薬に伴う副作用として認(rèn)められることが多いのですが、糖尿病のない方にも低血糖は生じる場(chǎng)合があります。

  健常者の空腹時(shí)の血糖値は、70mg/dlから99mg/dlの間に維持されています。

  血糖値が70mg/dl未満に低下すると、ほとんどの人は、低血糖の癥狀を認(rèn)めます。

  低血糖の代表的な癥狀としては、空腹感、動(dòng)悸、発汗、振戦などが挙げられます。

  これらの自覚癥狀の一部は、血糖値を上げるために分泌されたアドレナリンなどのホルモンが関與しています。

  血糖値がさらに低下し、50mg/dlを下回ると、脳が十分なエネルギーを確保できなくなります。

  その結(jié)果、反応が鈍くなったり、錯(cuò)亂などの癥狀をきたし、さらに重癥になると、意識(shí)障害をきたします。

  低血糖の治療には、ブドウ糖の粉やタブレット、糖分を含む食べ物や飲み物、血糖値を上昇させるグルカゴンなどの薬物が用いられます。

  長(zhǎng)期間にわたり、低血糖を繰り返すときには、糖尿病の治療內(nèi)容に問(wèn)題がある場(chǎng)合や、血糖値を下げる他の原因がある場(chǎng)合があるため、低血糖の原因の精査が必要です。

目次

1. 低血糖とは 2. 低血糖の癥狀 3. 低血糖の原因 　3-1. 低血糖をおこしやすい血糖降下薬の種類 　3-2. 低血糖をおこしやすいシチュエーション 　3-3. 糖尿病のない人の低血糖の原因 　3-3-1. 反応性（食後）低血糖 　3-3-2. 空腹時(shí)低血糖 4. 低血糖の診斷と検査 5. 低血糖の治療 6. 救急車(chē)を呼ぶタイミング 　6-1. 意識(shí)障害のある時(shí) 　6-2. 低血糖を繰り返すとき 7. 低血糖の予防 8. 低血糖の長(zhǎng)期的な悪影響

低血糖とは

 

低血糖とは、血液中のブドウ糖が少なく（＝血糖値が低く）なり、血糖値を正常範(fàn)囲に戻すための措置（例：ブドウ糖の內(nèi)服）が必要となる狀態(tài)です。

  これは、通常、血糖値が、70mg/dl未満の場(chǎng)合に生じます。

  （＊健常者では、空腹時(shí)の血糖値は、70mg/dl～99mg/dlの間に保たれています。）

  血糖値が70mgを下回ると、ほとんどの人では、動(dòng)悸や振戦などの様々な低血糖の癥狀をきたし、ブドウ糖の摂取などの対応が必要になります。

低血糖の癥狀

 
血糖値が、70mg/dl未満に低下すると、次のような自覚癥狀を認(rèn)めます。

空腹感 動(dòng)悸 発汗 眠気 めまい 不機(jī)嫌 過(guò)敏性 不安 疲労感  

これらの癥狀の一部は、下がり過(guò)ぎた血糖値を上げるために分泌された血糖上昇ホルモンであるアドレナリンなどの働きによって起こります。

  さらに低血糖が悪化し、50mg/dlを下回ると、脳の主なエネルギー源であるブドウ糖が不足するため、脳がエネルギー不足に陥り、次のような中樞神経癥狀が出現(xiàn)します。

傾眠 混亂 かすみ目 けいれん 意識(shí)障害 昏睡  

重度の低血糖の場(chǎng)合には、意識(shí)障害が遷延し、呼びかけ等にも全く反応しなくなります。

  次に、低血糖域まで血糖値が下がっても、低血糖の自覚癥狀がなくなってしまう「無(wú)自覚性低血糖」について解説します。

  低血糖を頻回に繰り返している方では、徐々に、體に慣れが生じ、低血糖への體の反応が弱くなり、動(dòng)悸?発汗などの低血糖の自覚癥狀が乏しくなっていきます。

  また、糖尿病による重度の自律神経障害のある方も、低血糖時(shí)の體の防御反応が乏しい場(chǎng)合があります。

  低血糖時(shí)の自覚癥狀が乏しくなると、軽癥の段階では、低血糖に気が付くことできなくなります。

  こういう方は、血糖値がかなり低下し、意識(shí)障害などの中樞神経癥狀が出現(xiàn)するまで、低血糖を自覚できません。

  無(wú)自覚性低血糖のある方は、意識(shí)障害や昏睡などを伴う重癥低血糖をきたしやすくなります。

低血糖の原因

 

低血糖は、糖尿病治療中の方に多く認(rèn)められます。

  糖尿病の中でも、1型糖尿病、または、特定の薬を使用している2型糖尿病に認(rèn)められます。

低血糖をおこしやすい血糖降下薬の種類

 

糖尿病の薬（＝血糖降下薬）には、様々な種類のものが認(rèn)可されていますが、低血糖をおこしやすい薬とおこしにくい薬があります。

  低血糖をおこしやすい薬か否かは、薬の作用機(jī)序によって決まります。

  低血糖をおこしやすい薬は、インスリン製剤、スルホニル尿素薬、速効型インスリン分泌促進(jìn)薬です。

各種のインスリン製剤 スルホニル尿素薬（2世代：グリベンクラミド、グリクラジド、3世代：グリメピリド） 速効型インスリン分泌促進(jìn)薬（ナテグリニド、ミチグリニド、レパグリニド）  

スルホニル尿素薬?速効型インスリン分泌促進(jìn)薬は、膵臓のβ細(xì)胞に直接作用し、インスリン分泌を促すことで血糖を下げる薬のため、インスリンの分泌量が過(guò)剰になる場(chǎng)合があります。

  一方で、次の血糖降下薬は、低血糖を起こしにくいです。

ビグアニド チアゾリジン αグルコシダーゼ阻害薬 DPP-Ⅳ阻害薬 SGLT2阻害薬 GLP-1製剤  

低血糖を起こしにくい薬でも、インスリンやスルホニル尿素薬、速効型インスリン分泌促進(jìn)薬と併用すると、低血糖をきたす可能性が上がります。

低血糖をおこしやすいシチュエーション

 

低血糖をおこしやすいシチュエーションについて説明します。

  感染癥に罹患し食欲がないとき、食事を食べずにアルコールを飲んだときなど、食事の炭水化物の量に対して、インスリンや血糖降下薬を過(guò)剰に使用すると、低血糖をおこす場(chǎng)合があります。

  インスリンを使用中の方は、食事がとれないときに、インスリンの単位數(shù)をどうすべきか、主治醫(yī)の先生に予め確認(rèn)しておきましょう。

  （インスリンには全體的に血糖を押し下げる基礎(chǔ)インスリンと、食事の糖分を體に取り込ませるための速効型?超速効型インスリンの2種類があります。

  食事用の速効型?超速効型のインスリンは、食事中の糖分を體に取り込むためのインスリンのため、食事がとれないときには、単位數(shù)の調(diào)節(jié)が必要です。）

  運(yùn)動(dòng)により筋肉にグルコースが取り込まれるため、運(yùn)動(dòng)中、または、運(yùn)動(dòng)後に低血糖をきたす場(chǎng)合があります。

  この現(xiàn)象は、インスリン分泌の枯渇した1型糖尿病でよく認(rèn)められます。

  重度の労作や運(yùn)動(dòng)をする場(chǎng)合には、體を動(dòng)かす前に、補(bǔ)食をすべきかを、主治醫(yī)の先生に確認(rèn)しましょう。

糖尿病のない人の低血糖の原因

 

  糖尿病でない方が、低血糖をきたした場(chǎng)合について説明します。

反応性低血糖  

反応性（食後）低血糖は、食事に応じて分泌されたインスリンが過(guò)剰になり、一旦上昇した血糖値が食後數(shù)時(shí)間後に下がりすぎる事で生じる低血糖です。

  胃を切除した人に発生する事がありますが、この手術(shù)を受けたことがない人にも起こります。

空腹時(shí)低血糖

 
空腹時(shí)低血糖は、次のような原因で生じます。

アスピリン?サルファ薬などの薬物 アルコールの飲みすぎ 肝臓、腎臓、心臓、膵臓の病気 血糖を上昇させるホルモン（例：コルチゾール）が低い場(chǎng)合 特定の腫瘍　他

低血糖の診斷と精査

 

低血糖の診斷の基本は、低血糖の自覚癥狀が出現(xiàn)している時(shí)に、血糖値を測(cè)定することです。

  通常、インスリンを?qū)毪丹欷皮い敕饯稀⒆约貉菧y(cè)定を指導(dǎo)されています。

  1型糖尿病やインスリン使用中の高齢者等の意識(shí)障害を伴う低血糖をきたすリスクの高い方の場(chǎng)合には、家族が血糖測(cè)定の手技を習(xí)得しておくのが望ましいです。

  低血糖が頻回に生じる場(chǎng)合には、皮下連続式グルコース測(cè)定システム（Continuous Glucose Monitoring system； CGMS）を用いて、日內(nèi)の血糖推移を調(diào)べます。

  反応性低血糖を疑った場(chǎng)合には、他國(guó)では混合食負(fù)荷試験が行われていますが、日本では保険適応がありません。

  そのため、日本では、経口血糖負(fù)荷試験（75gOGTT）を、通常の120分から、180分、240分と延長(zhǎng)して、血糖値を測(cè)定し、低血糖の有無(wú)を確認(rèn)します。

  ただし、健常者の10パーセントの方でも、4?6時(shí)間のOGTT中に50mg/dL未満の血糖値を認(rèn)めるため、経口血糖負(fù)荷試験の意義は懐疑的です。

  空腹時(shí)低血糖を疑った場(chǎng)合は、問(wèn)診、身體診察、內(nèi)服薬の確認(rèn)、ホルモン検査などを行います。

  空腹時(shí)低血糖の精密検査として、絶食時(shí)間が長(zhǎng)くなると低血糖発作をきたすかどうかを調(diào)べる絶食試験を行う場(chǎng)合があります。

低血糖の治療

 

低血糖の自覚癥狀をきたし、血糖測(cè)定が可能な場(chǎng)合には、血糖値が70mg/dl未満であることを確認(rèn)します。

  次に、血糖値が70mg/dl未満の場(chǎng)合には、ブドウ糖10g、または、20gを內(nèi)服します。

  （ブドウ糖が手元にない場(chǎng)合には、清涼飲料水（ゼロキロカロリーを除く）でも代用可能です。

  例えば、コカコーラであれば、100mlあたり11.3g の砂糖が含まれています。）

  內(nèi)服15分後に再度、血糖値を測(cè)定し、血糖値が少なくとも70mg/dl以上になり、自覚癥狀が消失するまで、ブドウ糖の內(nèi)服を繰り返します。

  低血糖を治療する際には、炭水化物の選択は重要です。

  消化吸収に時(shí)間のかかる炭水化物（例：玄米や米など）ではなく、血糖値の上がりやすい、グルコース、または、砂糖を含む食品を摂取して下さい。

  糖尿病でない方の低血糖への対処方法は、原疾患により異なるため、原因の精査が必要です。

  追記：2020年10月に低血糖時(shí)の救急対応薬として、バクスミーというグルカゴンの點(diǎn)鼻粉末が発売されました。

  バグスミーの薬価は、一回分　8368円と高額であり、ブドウ糖で代用可能なため、使用する機(jī)會(huì)はないでしょう。

救急車(chē)を呼ぶタイミング

 

意識(shí)障害を伴う重癥低血糖のとき、ブドウ糖を何回內(nèi)服させても低血糖を繰り返すときには、救急車(chē)を呼びましょう。

低血糖により、意識(shí)障害、錯(cuò)亂、混亂等をきたしているとき

 

低血糖により意識(shí)障害をきたしている場(chǎng)合には、無(wú)理に口を開(kāi)けて糖分を摂取させずに、救急車(chē)を呼びましょう。

  （家人がグルカゴン注射を打つことも可能ですが、日本ではほとんど行われていません。）

  これは、次のことが考えられるからです。

意識(shí)障害の原因として、脳卒中などの低血糖以外の病気の可能性がある。 意識(shí)障害をきたすほどの重癥低血糖の場(chǎng)合は、低血糖が遷延することがある。 意識(shí)障害をきたしている人に、ブドウ糖を無(wú)理に飲ませると誤嚥するリスクがある。

ブドウ糖を何回內(nèi)服させても、低血糖を繰り返すとき

 

低血糖への対応を繰り返しても、再度、低血糖を繰り返すときには、インスリン?血糖降下薬の過(guò)剰?fù)杜cや、胃腸炎による脫水等のために血糖降下薬が體內(nèi)に蓄積している場(chǎng)合が考えられます。

  この場(chǎng)合には、血糖降下薬の効果が消失するまでに、薬の種類にもよりますが、1日～3日程度の時(shí)間がかかる場(chǎng)合があります。

  そのため、一旦、入院して、血糖管理をするのが安全です。

低血糖の予防

 
糖尿病治療中の低血糖予防のためには、次のことを行いましょう。

毎日、食事を決まった時(shí)間に食べる。 規(guī)定通りの食事の量（食後の高血糖は、糖質(zhì)が重要です。）を食べる。 運(yùn)動(dòng)は、食後30分～1時(shí)間に運(yùn)動(dòng)する。 薬を投與する前にインスリン量（特に食事により変更する場(chǎng)合）や、血糖降下薬を確認(rèn)する。 運(yùn)動(dòng)をする前に、補(bǔ)食の必要性を主治醫(yī)に確認(rèn)する。

低血糖の長(zhǎng)期的な悪影響

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