オーラルフレイルの予防と改善
公開日：2023年1月13日 09時(shí)00分
更新日：2024年8月13日 16時(shí)21分
小原 由紀(jì)（おはら ゆき）
東京都健康長(zhǎng)壽醫(yī)療センター研究所自立促進(jìn)と精神保健研究チーム研究員
オーラルフレイルの予防?改善がめざすもの
口腔は、食べることやコミュニケーションを介した人との関わりにおいて重要な役割を擔(dān)う生活の根幹をなす器官である。口腔機(jī)能の低下は、初期段階では癥狀が致命的ではなく、日常生活への障害が小さいことから、本人の自覚がないまま進(jìn)行しやすい傾向にあるため、早期発見?早期対処が重要となる。
地域在住高齢者を?qū)澫螭趣筏垦芯繄?bào)告では、口腔機(jī)能の軽微な低下の重複を意味するオーラルフレイルは低栄養(yǎng)のリスクとなるだけでなく、食品摂取の多様性、孤食や社會(huì)とのつながりとも関連することが報(bào)告されている1)-4)。口腔の健康狀態(tài)は、心身の狀態(tài)や生活習(xí)慣とも深く関わるため、オーラルフレイルへの対応では、口腔機(jī)能の改善だけでなく、十分な栄養(yǎng)摂取も含め、食べる楽しみやQOLなど、「こころ」と「からだ」の健康を支えることが目標(biāo)となる。
「キュア」と「ケア」の両輪で考える
口腔機(jī)能低下の兆候が認(rèn)められた場(chǎng)合には、その背景に著目する必要がある。例えば、咀嚼（そしゃく）機(jī)能低下では、歯の欠損による咬合（こうごう）不全や義歯の不適合といった器質(zhì)的な問(wèn)題が関與する場(chǎng)合と、咀嚼筋の低下や口腔周囲の協(xié)調(diào)運(yùn)動(dòng)の失調(diào)といった機(jī)能的側(cè)面が関與する場(chǎng)合が考えられる。
器質(zhì)的な問(wèn)題によって引き起こされる咀嚼機(jī)能低下に対しては、義歯の修理や作製等の補(bǔ)綴（ほてつ）治療※1により咬合を回復(fù)させることで口腔機(jī)能の改善を図る。また、う蝕や歯周病の適切な治療により歯の喪失を阻止することとなる。このように、器質(zhì)的な問(wèn)題への対応には、歯科醫(yī)療（キュア：cure）の適切な関與のウェイトが大きくなる。一方、加齢や不活動(dòng)等に起因する機(jī)能面が問(wèn)題となっている場(chǎng)合では、筋力の維持?向上を目的とした訓(xùn)練等を取り入れる。また、口腔機(jī)能低下に起因する口腔乾燥や口腔衛(wèi)生狀態(tài)の不良については、適切な口腔衛(wèi)生指導(dǎo)によりセルフケアの確立を図るとともに、歯科衛(wèi)生士による機(jī)械的歯面清掃（professional mechanical tooth cleaning）等プロフェッショナルケアの介入が必要である。すなわち、よりよい歯科保健行動(dòng)の獲得と口腔環(huán)境の改善を目的としたケア（care）が主體となる。オーラルフレイルの予防と改善は、今現(xiàn)在生じている兆候に加えて、潛在的なリスクを踏まえて、キュアとケアの両輪で対応していくこととなる（図1）。
図1 オーラルフレイルへの対応はキュアとケアの両輪 フレイル予防のための「3つの柱」では、1）栄養(yǎng)（食?口腔機(jī)能）、2）身體活動(dòng)、3）社會(huì)參加が掲げられ、栄養(yǎng)面については、食事と歯科口腔の定期的な管理が重要となる（図2）5)。キュアによる介入の必要性やタイミングの判斷には口腔內(nèi)の精査が必要であり、かつ本人によるセルフケアの勵(lì)行のみでオーラルフレイルを予防することはむずかしい。また、口腔の健康管理は介護(hù)度が上がるほどニーズも高くなる。そのため、かかりつけ歯科醫(yī)院における継続的な口腔健康管理が必要となる。
図2 フレイル予防のための3つの柱（出典：飯島勝矢, Aging & Health. 20225)より引用改変）
口腔機(jī)能向上の具體例
口腔機(jī)能向上を目的とした訓(xùn)練は、口唇?舌?咀嚼筋の活動(dòng)の賦活化を目的として実施する。トレーニング器具を用いる場(chǎng)合もあれば、特に道具等を要しない自動(dòng)訓(xùn)練もあり、これらは期待される効果に加えて、本人の興味や意欲に合わせて選択することとなる。さらにはガム?グミなど食品を用いた訓(xùn)練、昔ながらの玩具を用いて楽しみながら実施する訓(xùn)練など多様である（図3、4、5）。また、噛み応えのある食品を摂取することで咀嚼回?cái)?shù)を増やすための工夫や多様な食品を摂取するための食生活への助言?指導(dǎo)も重要である。食には、食事を誰(shuí)と食べるか、食事を準(zhǔn)備するのは誰(shuí)かといった生活背景に加え、本人の嗜好などの価値観が影響するため、コミュニケーションを通した情報(bào)収集が必須となる。
オーラルフレイル対応では、「趣味のカラオケを楽しむ」「家族での食事時(shí)の會(huì)話が増える」といった、口腔機(jī)能が維持?改善した先にある目標(biāo)設(shè)定が、生活に密著したものであることが重要である。これは、口腔の健康を維持すること自體が目的ではなく、本人が望む暮らしを?qū)g現(xiàn)するための「手段」のひとつにすぎないからである。
図3 口腔機(jī)能向上のための訓(xùn)練例（トレーニング器具を用いる訓(xùn)練） 
図4 口腔機(jī)能向上のための訓(xùn)練例（道具を用いない訓(xùn)練） 
図5 口腔機(jī)能向上のための訓(xùn)練例（馴染みのある物を用いた訓(xùn)練） また、口腔機(jī)能訓(xùn)練を?qū)g施するうえで重要なのは「継続性」である。本人が口腔機(jī)能を向上することの必要性を理解し、訓(xùn)練の実施方法を教わるだけでは行動(dòng)変容にはつながりにくい。必要な保健行動(dòng)を獲得し習(xí)慣化するためには、直後の結(jié)果に影響される（オペラント強(qiáng)化）とされている。行動(dòng)をした直後に、「やって良かった」、「自分にもできそう」と自分にとってよい結(jié)果が得られると思える訓(xùn)練の選択や生活上の工夫を?qū)g施することが、長(zhǎng)期継続のカギとなる。
オーラルフレイル対応の今後の課題
近年では、フレイル予防を擔(dān)う専門職として歯科衛(wèi)生士の通いの場(chǎng)等への參畫が期待されている。長(zhǎng)期にわたる通いの場(chǎng)での口腔に関わる健康教室への參加は、口腔機(jī)能低下を抑制するとの報(bào)告もあり6)、地域における住民主體の健康づくりの場(chǎng)における口腔機(jī)能向上への取り組みが、今後ますます重要となるであろう。しかしながら、オーラルフレイル対応の社會(huì)的フレイルや食生活等への改善効果についてのエビデンスは十分とはいえず、今後さらなる研究が期待される。
また、口腔機(jī)能向上に関わる健康教育は単體での実施よりも、運(yùn)動(dòng)や栄養(yǎng)との複合的プログラムの実施による相乗効果が期待できるとされている7),8)。特に、森下らの報(bào)告では、18か月間の歯科衛(wèi)生士と管理栄養(yǎng)士による教育プログラムの展開が、通所サービス利用者の嚥下機(jī)能、日常生活動(dòng)作や意欲の改善に効果があったとしている（表）8)。特に、栄養(yǎng)面へのアプローチは、食べる楽しみを維持し、健康な體づくりにおいて必須であり、オーラルフレイル予防のプログラムとの親和性はきわめて高い。栄養(yǎng)と口腔の連攜協(xié)働によるアプローチの推進(jìn)が課題となるだろう。
表 口腔と栄養(yǎng)の複合効果（出典：森下志穂 他, 日本歯科衛(wèi)生學(xué)會(huì)雑誌 20178)より引用改変） 介護(hù)保険認(rèn)定狀況臨床認(rèn)知癥評(píng)価（CDR）日常生活動(dòng)作（Barthel Index)活力の指標(biāo)（Vitality Index)BMI栄養(yǎng)スクリーニング（MNA?-SF)食欲（CNAQ）嚥下機(jī)能（反復(fù)唾液嚥下テスト）舌口唇運(yùn)動(dòng)機(jī)能（オーラルディアドコキネシス） 口腔群 〇 × × △ × × △ × 〇 栄養(yǎng)群 〇 × × × × △ 〇 × × 複合群 〇 × 〇 〇 × × 〇 〇 〇
〇：改善 △：維持 ×：悪化
まとめ
オーラルフレイルへの対応のめざすべきゴールは、単に個(gè)々の口腔機(jī)能を改善することではない?？谇护谓】丹蚓S持?向上することにより、栄養(yǎng)をしっかり摂ること、食べる楽しみや社會(huì)とのつながりを通じて、その人が望む暮らしを享受できる健康壽命の延伸がエンドポイントになると考えられる。
文獻(xiàn)
Iwasaki M, Motokawa K, Watanabe Y, et al.: A Two-Year Longitudinal Study of the Association between Oral Frailty and Deteriorating Nutritional Status among Community-Dwelling Older Adults. Int J Environ Res Public Health. 2020; 18(1): 213. Hoshino D, Hirano H, Edahiro A, et al.: Association between Oral Frailty and Dietary Variety among Community-Dwelling Older Persons: A Cross-Sectional Study. J Nutr Health Aging. 2021; 25(3): 361-368. Hironaka S, Kugimiya Y, Watanabe Y, et al.: Association between oral, social, and physical frailty in community-dwelling older adults. Arch Gerontol Geriatr. 2020; 89: 104105. Ohara Y, Motokawa K, Watanabe Y, et al.: Association of eating alone with oral frailty among community-dwelling older adults in Japan. Arch Gerontol Geriatr. 2020; 87: 104014. 飯島勝矢: 住民參加型のまちづくり. Aging & Health. 2022; 31(2): 6-11.（新しいウインドウが開きます） Miyoshi S, Shigeishi H, Fukada E, et al.: Association of Oral Function With Long-Term Participation in Community-Based Oral Exercise Programs in Older Japanese Women: A Cross-Sectional Study. J Clin Med Res. 2019; 11(3): 165-170. Iwao Y, Shigeishi H, Takahashi S, et al.: Improvement of physical and oral function in community-dwelling older people after a 3-month long-term care prevention program including physical exercise, oral health instruction, and nutritional guidance. Clin Exp Dent Res. 2019; 5(6): 611-619. 森下志穂, 渡邉裕, 平野浩彥他: 通所介護(hù)事業(yè)所利用者に対する口腔機(jī)能向上および?xùn)佯B(yǎng)改善の複合サービスの長(zhǎng)期介入効果. 日本歯科衛(wèi)生學(xué)會(huì)雑誌. 2017; 12(1): 36-46.筆者
小原 由紀(jì)（おはら ゆき） 東京都健康長(zhǎng)壽醫(yī)療センター研究所自立促進(jìn)と精神保健研究チーム研究員 略歴 1998年：東京醫(yī)科歯科大學(xué)歯學(xué)部附屬歯科衛(wèi)生士學(xué)校卒業(yè)、都內(nèi)歯科診療所勤務(wù)、2008年：東京醫(yī)科歯科大學(xué)歯學(xué)部口腔保健學(xué)科卒業(yè)、2009年：同特任助教、2010年：首都大學(xué)東京人間健康科學(xué)研究科修了?修士（健康科學(xué)）、2014年：東京醫(yī)科歯科大學(xué)大學(xué)院修了?博士（歯學(xué)）、同口腔健康教育學(xué)分野講師、2019年：東京都健康長(zhǎng)壽醫(yī)療センター研究所自立促進(jìn)と精神保健研究チーム専門副部長(zhǎng)、2022年より現(xiàn)職、仙臺(tái)歯科醫(yī)師會(huì)在宅訪問(wèn)?障害者?休日夜間歯科診療所歯科衛(wèi)生士 専門分野 老年歯學(xué)?歯科衛(wèi)生學(xué) 転載元
公益財(cái)団法人長(zhǎng)壽科學(xué)振興財(cái)団発行 機(jī)関誌 Aging&Health 2023年 第31巻第4號(hào)（PDF:6.3MB）（新しいウィンドウが開きます）
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